2018年8月5日日曜日

マッケンジー体操

立位から運動内容を決定する

私が臨床で運動の基準とするのは、腰椎の彎曲の度合いです。
通常よりも前彎が乏しい場合は、脊椎伸展運動(マッケンジー体操)を選択しますが、前彎が強い場合は脊椎屈曲運動を選択します。
前彎が強いのに伸展運動を行うと、症状を助長してしまう可能性もあります。
また、私も腰椎前弯が強くて腰痛持ちなのですが、マッケンジー体操を実施すると明らかに痛みが増します。
反対に、身体を丸めるような屈曲運動を実施すると調子がよくなります。正しい姿勢に調整するという意味では、これが簡単な選択基準だと思います。
腰椎前弯の減少腰椎前弯の増強 
腰椎前弯の減少腰椎前弯の増強

痛みの中央化現象

エクササイズの効果判定として、痛みが軽減するかどうかは重要な指標になります。それに加えて、痛みが中央化していくことも改善の予兆とされています。
中央化とは、下肢にまで痛みが広がっている状態から、徐々に痛みがお尻付近まで移動してくる現象をいいます。
この傾向が現れている場合は、エクササイズは有効であると考えられ、継続していくべき指標となります。
1.下肢まで広がっている2.中央化してきている3.中央化の完了
腰痛の中央化1腰痛の中央化2腰痛の中央化3

なぜ中央化が起こるのか

痛みが中央部に移動していく理由について、個人的に推察するなら、椎間板の移動によって神経の圧迫部位が変化していると考えられます。
圧迫部が脊髄の正中部から外側部に移行していると考えるなら中央化を説明できますが、ちょっと厳しい気もしますね。
なぜなら、運動による椎間板の移動に関しては議論の余地があるのが現状ですので、あくまでひとつの指標として捉えるようにしてください。

マッケンジー体操の方法

ステップ①
うつ伏せになり、深呼吸をして完全に力を抜き、2-3分間この姿勢のままでいます。
マッケンジー体操の方法1
ステップ②
両肘が肩の下に来るようにして、前腕で上半身を支える姿勢をとります。この姿勢をとったら深呼吸をして完全に力を抜き、2-3分間この姿勢のままでいます。
マッケンジー体操の方法2
ステップ③
両手を肩の下に置き、手は腕立て伏せをするときの位置に置きます。両肘を伸ばしながら上半身を持ち上げていきます。
痛みに耐えられるところまで上げ、このときに骨盤やお尻、両脚に力が入らないようにします。この姿勢を1-2秒保持してから最初の姿勢に戻ります。
マッケンジー体操の方法3マッケンジー体操の方法4
ステップ④
両腕をまっすぐに伸ばすことができたら、腰がたわんだ状態を確認しながら1-2秒保持します。
ここが最大のポイントで、この姿勢で骨盤とお尻、下肢をリラックスさせて息を大きく吐くと、より効果的に腰がたわみます。
このたわみで痛みの軽減や中央化があれば、この姿勢をもっと長く保っておくようにしていきます。これらの運動を10回1セット、1日6-8セットで実施していきます。
マッケンジー体操の方法5

エクササイズの実施後に運動内容を再検討

指導した運動方法で痛みが増す場合、または痛みが中央から末梢に移動する場合は、運動方法が間違っている可能性があります。
なので、運動を中止するか、運動方向を反対にする必要があります(脊椎伸展運動を実施していた場合は脊椎屈曲運動へ)。
腰痛の原因には多種多様なものが存在しており、特定が困難である場合が多いです。
なので、対症療法にはなりますが、効果的だと考えうる方法から選択していき、効果判定を随時に行っていくことも大切です。

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